あとましーん

SIerで働き、外出で何か美味しいものをさがし、節操なく興味のままに行動するアラサー男の備忘録です。

【仕事】【ERP】長年、商品毎に利益が出ているか神だけが知っていた

私は現職でERPを提供する会社に勤めていますが、販売・生産・会計システムを導入している時に、意外なことに出くわすことがあります。

今日はその件について書きます。

 

企業の業績に関する指標として、売上を重視するか・粗利や営業利益を重視するかは状況により異なりますが、ERP導入時に粗利(売上総利益)や営業利益の精度向上を目的として導入することもあります。売上はどの仕組みでも正しく捉えることが出来ますが、粗利や営業利益って意外に難しいです。

 

いやいや、何言ってんの?休みボケして脳みそが甘栗になっていませんか?粗利や営業利益は絶対わかるでしょう。

 

という指摘はあると思いますが、もう少し話します。

 

会社全体として粗利(売上総利益)や営業利益を正しく把握することは会計制度上も必要であり、どの企業も必ず実施しています。では、何が正しくとらえられていないかと言うと、分析したい軸(部署・取引先・商品・プロジェクト等)では正しく捉えていないことが意外にあります。

 

要因は色々ありますが、よくあるケースとしては
①各システムで保持する分析軸が異なる
②3分法と売上原価対立法
③社内原価
④予定単価
⑤直課し辛い販管費
あたりでしょうか。それぞれ書き始めると還暦を迎えてしまうので、それは別の機会にします。

 

実際、年商数百億の生産業のお客さんで、上記要素の①・③・④の理由により未だに正しくとらえられていない実態に出くわしました。

 

今回のお客さんでは、商品毎の利益が出ているかわかっていなかったという例です。

 

今回のお客さんでは、機械を自社工場で生産しそれを営業が販売しています。良くある会社ですね。その際、工場から社内用の原価で営業に伝えています。販売原価って言ったりもしますよね。工場での生産時には材料費以外(労務費と経費等)は生産予定単価と工数で算出しており、実際の生産原価と異なる内容となっています。とはいえ、別の部署で実際の生産原価は材料・労務費・経費で把握していました。

 

図で示すと以下の通りです。
※在庫や仕掛を考慮しないデフォルメしたイメージで書いています。

 

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図で示すと商品毎の利益が正しくとらえられそうですが、各情報を格納しているシステムが異なっており、算出不可能な状態になっていました。

 

これも図で示すと以下の通りです。

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会計システムには商品の情報は一般的には不要なので、各システムの特性を考えると上の図にも違和感はないですよね。ただ、それだと不都合が出てきます。

 

例えば、商品Aと商品Bを売上した時、以下のようなデータになります。
(例)商品AとBの社内原価は80,120 材料費は20,30 生産予定単価は40,60 、労務費と経費は生産部門で70,60だったと仮定しています。

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この場合、各システムで見る利益としてはこんな見え方になります。

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営業部門は社内原価に対して利益を確保出来ていればいいと考えており、そもそも商品が本当に適正な利益率になっているかは気にしていません。
かたや、会計システムでは商品毎の利益が適正かどうか気にしておらずでした。

 

ということで、実際に商品がどのくらい儲かっているか神のみぞ知る状態でした。


この解消法は会計システムに商品情報を保持可能とする、生産システムにて実際の労務費・経費と予定単価の差額を各商品に配賦する 等ありますが、今回のお客さんでは実際に長年この状態のままとなっていました。

 

この場合、利益率が十分確保できており、

①販売原価 > ②生産システムでの生産原価(材料+生産予定単価×工数)>③会計システムでの生産原価(材料+労務費+経費)
であれば大きな問題は無いかと思いますが、

今回の例のように ① > ③ > ② になっていると実際に各商品が儲かっているかわからなくなってきます。


今回のお客さんでは  ③>②となっており、その差が2割近く発生しておりました。

 

2割、大きすぎますね。僕が2割身長が伸びたら、イケメンになると思います。(他にも色々足りてない・・・)

 

しつこいですが、これだと儲かっているかどうか本当に分からなくなります。

 

システム導入を契機に社内の仕組みを確認することも多く、今回のようなことも浮かびあがってくることもあります。

 

こちらのお客さんに対しては、システム導入云々の前に、生産予定単価を見直すことで少なくとも儲かっているかどうか分かるようにしましょう となっています。

 

この手の改善につながる内容は、いいですね。

 

勢いで書いて言葉足らずなので、読み返して違和感のある箇所は随時修正していこうと思います。

では、このあたりで。