あとましーん

SIerで働き、外出で何か美味しいものをさがし、節操なく興味のままに行動するアラサー男の備忘録です。

【レビュー】今更ながら、まんがでわかるデザイン思考 を読んでのレビューです

今更なのですが、「まんがでわかるデザイン思考」を読みました。

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かなり分かりやすく、短時間で読むことが出来ます。デザイン思考、今まで言葉だけは知っていました。顧客視点で新サービス・製品を考える事とだけなんとなく思っていました。薄い理解ですね・・・本書では考え方だけでなく、実際に新サービスを考えるためのアイデア出し手法や実現プロセスを漫画で分かりやすく書いています。本当、サクサクと読めます。ただ、これだけだと脳内を通過していきそうなので、内容と所感をまとめようと思います。まとめの時間が読む時間より遥かに長いです。笑

話の概要としては、赤字の喫茶店をデザイン思考で導き出されたアイデアにより黒字化し、さらに大盛況にするサクセスストーリーです。

 

1.創造的覚悟

内容:
赤字店の店長になることが決まった主人公。お客の老人よりお店の黒字化には改善ではなく革新が必要と言われる。その為に新しい価値の想像力が必要となる。だが、特別な力ではなく、人間は全員が想像力を持っていると老人に言われ、強い気持ちで赤字店の店長に臨む。

感想:
話が分かりやすくて面白そうです。


2.着想① 潜在的ニーズ

内容:
着想・発案・実現がデザイン思考のプロセスであり、表面化されたニーズではなく潜在的ニーズの発見が必要である。潜在的ニーズは観察により生まれる。アンケートやデータ分析で潜在的ニーズはわからない。顧客は現実との比較で話す為、潜在的ニーズはわからない。電話ボックスをどうしたいか30年前に聞いていたら、設置箇所を増やしてほしいと回答していたはずである。また、データ分析はどのデータを分析するか取捨選択があり、それにより答えが大きく変わる為、潜在的ニーズを分析できない。
表面化されたニーズは既存サービスやモノである程度満たされている為、差別化が難しい。潜在的ニーズはその点、差別化がしやすい。

感想:
潜在的ニーズが差別化につながりやすい点は確かにそうだと思います。また、アンケートが有効ではない点も前職での経験から同意です。実際、偉そうなのですが些細な改善事項しか出てきませんでした・・・ただ、データ分析が潜在的ニーズを分析できない点が全く納得できないです。データ分析により既存の行動から潜在的なニーズ推測もできるのではないかと思うのですが、どうなんでしょうかね。


3.着想② 普通を見直す

内容:

潜在的ニーズを知るために、共感マップを用いて、観察を進める。共感マップは SAY DO FEEL THINK が書かれたマトリックスで、赤(ポジティブ)・青(ネガティブ)・黄(どちらでもない)の付箋を貼ります。FEEL THINKはSAY DO から客観的に類推する。
<共感マップのサンプル>

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その際、3つの観点で留意する
① 自分の常識・経験・思い込みで判断しない
② 意味不明・無意味に思える行動を見逃さない
③ 感情と行動を連動させて観察する
一通り貼り終わった後で、斬新なもの・意外なもの・矛盾したものがあれば潜在的ニーズの可能性がある。本編では、スーツのサラリーマン向けにソファー席をテーブル席に変更したことで1か月後に見事に黒字化を実現した。

感想:
いやー、ここが一番難しいですね。理由は3つあります。そもそも僕がBtoBを中心とした会社なので、それに由来する理由です。
1つ目、BtoCであれば観察可能ですが、BtoBの場合には観察対象が分からない。おそらく最終的な利用者になるのかな・・・利用者を観察してニーズが仮に分かったとしても、直接サービスやモノを提供していないので解決策が限られるのでは、と思ってしまいます。
2つ目は各施策の効果まで時間がかかることです。BtoCは効果が早く出るのかもしれませんが、BtoBはBtoCよりも購入に慎重になり、時間がかかる印象です。なので、その分効果が出るまで長くかかるのかなと。
3つ目ですが、効果出るまで時間がかかるので同時に複数の施策を進めています。なので、どれが当たったのかわからないことも多々あります。


4.着想③カスタマージャーニー


内容:

潜在的ニーズを知るために、共感マップに加えて観察する方法としてカスタマージャーニーがある。顧客がモノ・サービスを利用する過程を旅に見立てて観察する方法である。
<カスタマージャーニーサンプル>

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横軸は顧客の経験、縦軸は必要に応じて分類する。これに付箋紙で記録をする。

これにより視野が広がり、顧客の普通の経験を記録することが出来る。普通の経験を改善することでサービスの向上が可能になる。
また、いかなる個人よりも多数の人の方が賢い為、可能な限り人数を多く実施する。
これによりエクストリームユーザーを見つける場合がある。エクストリームユーザーは想定外の使い方をするユーザーである。独自の使い方=本質的欲求の現れ=潜在的ニーズの可能性である。
本編ではカスタマージャーニーにより氷をかじる顧客を発見し、体を動かす・五感を刺激する・ポジティブな気持ちになるという顧客の欲求を見出した。


感想:
BtoBでの有効性に疑問を持っていたので話半分に見ていましたが、もし本当に実施するのであれば、カスタマージャーニーは視覚的かつ網羅的で有効に思えます。また、エクストリームユーザーは数が限定されているにも関わらず対応コストが発生する為、サービス対象外として扱うべきと考えていました。ただ、ニーズの確認をする場合には確かに有効ですね。これは勉強になりました。

5.発案①ブレインストーミング
内容:
着想をもとに解決策を考えるプロセスが発案。ブレインストーミングは何人かの集団で自由に意見を言い合う会議技法であり、アイデア出しに有効である。
ブレインストーミングでは以下がポイントになります。いいアイデアを得たいのであれば、月に2回以上行うことが有効です。
① アイデアは質より量にこだわる
② 他者のアイデアをもとに飛躍する
③ 上下関係による影響を排除する
④ 自己防衛心を取り除く
⑤ 支配欲に気を付ける
⑥ 制限時間1時間 目標100個のアイデア
⑦ 簡単なクラフトツールやお菓子・飲み物等用意する
⑧ どの案がいいかは多数決 
⑨ 進行方法と進行役の心がけ
 1).テーマ設定はアイデアがすぐに10個出るように
 2).場の流れを停滞させない
 3).アイデアを付箋紙に貼っていく
 4).重要なルールは壁に貼っていく

本編ではこれを店内で実施した結果、付箋紙で出来たテーブルを用意するアイデアが導きだされた。

感想:
ブレインストーミング、通称ブレストは前職でも良くやっていましたが、議題無しで適当に会話したい時に使っていました。便利な言葉になってました。笑 大抵何の結論も生み出さない、上司のポエムを聞く会議になりがちでした。たぶん、どこの会社でもあるあるです。この点、明確に指針が定められていて参考になりますね。特に⑥と⑧は必須だと思います。本書によると、どのアイデアが望ましいかは人間関係・各人の利益・所属組織の事情により決まりますが、それでも経験上多数決が決定手法として最も望ましいとのことでした。実際に実施した場合、意見の強い人が多数決を拒否しがちな印象があるので、ここはもう少し根拠が欲しいところですね。(欲しがりですかね・・・)

6.発案②プロトタイピング
内容:
最初にすべて想定はできない為、プロトタイピング(試作品)で最適な形を模索していく。技術的実現性・経済的実現性・有益性の意識が必要だが、中でも有益性に意識を向けるべきである。電子レンジがいい例で、シンプルに温めるだけの電子レンジを手に入れたい人が一定割合存在していた。これは有益性に着目して技術的・経済的実現性のバランスをとったいい例である。本編では実際に天板が付箋紙で出来たテーブルを作成している。

感想:
このあたりは納得ですね。最初から完璧なものは作成できない為、試作品で検証が望ましいです。ただ、重要なことは試作品に時間とお金をかけすぎないことでしょうか。試作品で完璧を追求し続けてもキリがないので、期限決めて進めることが必要ですね。この点は本書に書かれておらず、実際に実施した時に高い確率で失敗しそうかなと思ってしまいました。

7.実現 プレゼンテーション
内容:
潜在的ニーズをもとに作り上げたアイデアは経営陣の承認を得ることが難しい。
過去の前例・実績が無く、リスクを経営陣に強いることになる。経営陣が理解・共感し、支援者(ファン)になってもらうことが必要である。そのために試作品は何よりも有効である。本編では経営陣にプレゼンテーションをし、試作品を体験してもらうことで理解・共感を得て支援をしてもらうことになった。その結果、お店は大盛況になる。

感想:
経営陣の理解・承認、ここは確かに大変難しい点ですね。ほとんどこれで没になります。リスクとリターンの兼ね合いでしかないので、極力リスクを小さくしつつ、リターンの実現性を試作品や熱意を通して理解してもらうことが現実かなと思いました。

以上が内容です。
最終的に明日からは
・デザイン思考のBtoBでの有効性を探る
・ニーズ調査ではエクストリームユーザーを除かない
ブレインストーミングの心得を周知し、今後ブレインストーミングを行う
を意識しようと思います。
デザイン思考、勉強になりました。面白い本だったので、全く内容知らない人にはお勧めです。我が家でもやってみようかな・・・