あとましーん

SIerで働き、外出で何か美味しいものをさがし、節操なく興味のままに行動するアラサー男の備忘録です。

【書評】中堅・中小企業のための「DX」実践講座

今年の冬はかなり寒いそうです。気温が低いことは特に困りませんが、風が強いことは困りますね。この土日は風が穏やかで、かなりジョギングし易い2日間でした。木曜日頃は膝が痛くて全然走れる気配が無かったですが、ジョギング出来るくらいに膝が回復してきたので、安心しました。

 

最近、息子の親離れが徐々に始まったような気がします。1年前であれば、家にいる時も遊ぼう遊ぼうとねだってきましたが、最近言わなくなりました。暇な時は漫画を読んでいる気がします。スケボーやサッカーの練習に誘った時は一緒に行くので、完全に離れているわけではないですが、徐々に大人になっていきますね。月並みな表現ですが、うれしいような、寂しいような気持ちです。

 

余談が長くなりましたが、今日は 中堅・中小企業のための「DX」実践講座 の感想です。一言で表すと、言葉は過激ですが、相当がっかりしました。マイナスなことは書きたくないのですが、それでも読んだので一応・・・

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この本では内容が浅く、当たり前のことが延々と書かれています。きっと実務をやっていなくて、想像で書いているのかと思います。もしくは、新入社員向けに書いた本なのかもしれません。

 

たとえば、第1章では「なぜ、デジタル化はうまくいかないのか?」について書かれています。そこに9つの間違いが記載されています。

 

この時点で違和感があります。そもそも、DX実践講座の最初にデジタル化だけを持ってきている時点でいかがなものかと思います。

 

経済産業省のDX推進ガイドラインで提唱されている定義では、

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」がDXの定義です。

 

それに対し、何故いきなりデジタル化を取り上げているんでしょうかね。揚げ足を取るわけではないですが、全くDXの定義も無くデジタル化を記載しているということは、筆者自体がDX=デジタル化と狭義にとらえていると思ってしまいます。

 

第1章の中身も見ていくと、9つある間違いの中で最初の間違いは「いきなりデジタルツールを導入してしまう」とあります。それは目的と手段を取り間違えているからであり、成功の道筋を立てて入れましょうと説いています。いやいやいやいや、そりゃそうでしょう。そんな何も考えていない人はいないですから。これ見た瞬間にがっかりしました。

他にも、間違い②では「掛け声だけで、目的があいまいなまま進めてしまう」 とあります。はい?そんな会社ありませんから。僕は今まで100社以上システム導入を進める企業に接してきましたけど、どの企業も目的持って導入をしていました。そんな何となくお金を出す人なんていないです。ちょっと酷すぎて愕然とします。

浅いと思った部分では、間違い③「投資回収をシミュレーションしていない」の部分です。これも、考えない企業は無いのですが、システム導入の効果をどう定量化するかが難しいです。分かりやすく時間削減が出来ていればいいのですが、チャットツールやグループウェアのように定量化し辛いツールもたくさんあります。その点に言及が無く、投資回収のシミュレーションをしていないとだけ書いても、誰も響かないと思います。

 

序盤からこの調子で、中盤以降は各業務毎にツールを入れましょう、こんなツールがありますよ、と書いています。浅過ぎる・・・それでビジネスモデルがどう変革し、どう競争上の優位が出来るのでしょうか。

 

例えば、蓄積したデータを活用し利益低い取引を自動検出して損益管理を高度化する、であったり、中国の電力量により2か月後の需要量が推測できることをデータ分析により導き出し需要予測に活用する、であったり、そういったことが競争上の優位性だと思います。これでもビジネスモデルの変革には至っていないので、さらにその点も考える必要はありますが、それでもこの本よりはいい事例だと思います。

 

そんなこんなで、最近読んだ本の中で悪い意味で一番衝撃を受けた本でした。

 

今日はこのあたりで。