前職SIer目線で書く、業務をシステムに合わせるってかなり難しいという話

現職に転職してからも、まだまだ業務をシステムに合わせるか・システムを業務に合わせるか議論を度々耳にします。システムを業務に合わせるというのは、いわゆるアドオンやカスタマイズと言われていたりもします。前職がSIerだったので頻繁に聞いていたのかと思いきや、そうでもないみたいです。

この手の話でよく聞く話は、昔はシステムを業務に合わせ過ぎた。その結果、ブラックボックス化が進み、入れ替えもしづらく身動きが取れない。なので、多くのカスタマイズやアドオンは悪であり、今後は業務をシステムに合わせるべきだ　との話があがります。言葉悪いですが、何も知らない経営者やコンサルが良くその手の話をします。

業務をシステムに合わせるべきの背景には、システムは多くの企業で導入されているので、そのシステムで存在する機能が一般的な業務を表している、わが社の業務をあえて特別にすることはない、システムに合わせて業務を変更するべきだ、こんな考えです。

これだけだと、実は全然理解が浅いんですね。この考えでシステム導入すると失敗します。ん、、、書きすぎました。相当苦労します。

何故かと言うと、そもそも多くの会社で使っているシステムといえど、完璧では無いからです。そもそも完璧なシステムは存在しないのではとも思えます。

一般的にシステムはERPで言えば業態や業務毎に作られていることが多いです。例えば生産・販売・給与・会計、こんな括りですね。でも、各会社毎に売り上げ規模や人数が異なり、業界やビジネスモデルも異なっている為、必要な要素が変わってきます。

例えば、売り上げが1か月100件の会社と、100万件の会社があったとします。前者は手入力で処理が可能ですが、後者はとても手入力では入力が終わりません。まぁ、大人数で手入力しているケースもあるかもしれませんが、一般的にはバッチ処理（連携や一括処理）で対応しています。このように、会社規模で全然求められる機能が異なります。これ、利用人数が多い場合にはセキュリティの話も出てきますしね。

かと言って、大は小を兼ねるでバッチ処理も入力処理もすべて兼ね備えた場合、膨大な機能が実装され、使う側は非常に学習コストのかかる仕組みになります。似たような名前がありますが、どれ使ったらいいか分からない、ってやつですね。さらに、提供する側もシステム規模が巨大になると改修が非常に難しくなります。

今のは会社規模でしたが、業界でも求められる機能が変わってきます。食品業界で言えば有効期限が必要になったり、レンタル業界は商品一つずつを識別必要であったりします。これも全部機能で含めたら？との話になると、さっきと同様の話で非常に膨大な機能が実装されることになります。

システムの中には、設定で膨大な機能実装出来ます、自分たちでもローコード開発出来ます、とアピールする仕組みもありますが、それは結局学習コストが高くなり、膨大な資料が必要となり、ブラックボックス化が進む仕組みになります。

ということで、システム提供する会社は最大公約数的な実装しかしていないものなんですね、一般的には。このことを選ぶ時に本当に前提として知っておく必要があります。

なので、業務をシステムに合わせるって言いますけど、そこまで完全にシステム確認していますか？って思います。でも、実際に僕が購入する側だったとしても、会社規模、業界、ビジネスモデルまで見極めは一般的に出来ないです。このシステム業界は情報がオープンになっておらず、購入者と販売者の間にかなりの情報格差が存在します。都合のいいことしか販売者は言わないです。

じゃあ、結局どうすんの？ってことになるのですが、上で書いたことと矛盾する内容ながら、きちんと会社規模や業界・ビジネスモデルまで含めて正しくシステムを見極めようとしましょう。システムの中には体験版が存在するシステムも多いです。なので、それを有効活用して確認しましょう。当然、システムだけではなく会社体質やシステムのアーキテクチャやインフラ面も考慮します。その上でカスタマイズは事前にあぶりだして、経営上必須であればそれはカスタマイズすべきかと思います。

その結果、カスタマイズが多くなりすぎて、費用やスケジュール面から自分たちで作った方がいい　となるのであれば、それが事業継続に必要なコストと体制という結論です。なので、そこへの金銭的・人的投資は経営陣に説明し、それを見込んだ上で事業の利益を出していきましょう。

よく聞く話だったので真面目に書きました。

後で見直してみて、言葉足らずな部分は継ぎ足そうと思います。

もしシステムを選ぶような人がいたら、少しでも参考になれば嬉しいです。